実は年金不正受給問題より貧困問題のほうが深刻

●結論
日本は相対的貧困率が高く、GDPに対する生活保護費率も少ない。
これは構造改革が、企業優遇のための規制緩和から実行したため、弱者への再配分がうまくいってからだろう。
1978年のトウ小平による経済開放路線、1979年のサッチャーによる政治改革を追いかけて日本も「新自由主義」を導入したが、企業優遇のための規制緩和から実行したため、弱者への再配分がうまくいっていないということだろう。具体的には、1999年の労働者派遣法改正に伴う派遣社員増加や、役人がリクルート電通に依頼したプロパガンダ(失礼、PR活動でした)で誘導されてフリーターが増加したため、相対的貧困率が増えたためだろう。
しかし、これからは、弱者に寛容な政治制度への構造改革を進める必要があるだろう。
橋本知事が導入しようとしているベーシックインカム構造改革の負の部分を解消しようとする点で正しい。橋本知事の国政進出は、維新八作のうち憲法改正などもあって批判的だが、大阪府大阪市の改革はまっとうなため、応援している。

※ただ、橋本知事の相続税100%はいくらなんでもやりすぎで、これを実行すると、地下経済市場が拡大する。例えば、イタリアでは税金が高いために、領収書を発行せずに、影で賃金を支払うというやりとりが一般化しているそうである(これが統計上の失業率を低く見せることになる)。法の支配を守るためにも、日本の財政債権は、減税とインフレ税によって、賄うべきだと思う。
あと、憲法改正の動きは問題。最悪なのは9条改正で、これをすると軍事費拡大になって、アメリカの世界戦略のために中国にぶつけられる可能性があるので、9条は護持しよう。これ、9条は戦後の日本の保守が支持してきたんだからね。本当は左翼の馬鹿の一つ覚えの理念も利用している高等戦略なわけで、吉田茂総理、村山総理も採用してきたいわば日本の密教だからね。

生活保護費不正受給額は総額の0.4%しかなく大した問題ではない
生活保護の不正受給額は2010年度に約2万5千件(前年度比29%増)、総額は約129億円。
一方、10年度の生活保護費は総額3兆3300億円である。
つまり、不正受給分は生活この約0.4%である。これを徹底的に調査しても、せいぜい1000億円程度だろう。脱税を本気で取り締まれば8兆円くらいの金が出てくるそうでこっちのほうが遥かに効果ある。

●日本は、相対的貧困率が世界四位。フランスの2倍もの貧困率
相対的貧困率とは、OECDによる定義では等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯員数の平方根で割った値)が、全国民の等価可処分所得の中央値の半分に満たない国民の割合の事。
日本の2006年の等価可処分所得の中央値(254万円)の半分(127万円)未満が、相対的貧困率の対象となる。

このような相対的貧困者は確かに増えている。ジニ係数(格差)は小さめなのに(イギリスと同程度)、相対的貧困が多いということは、大金持ちはおらず、今までは中流だけだったのが派遣やフリーターなどが増加して下流に差がついたということかもしれない。

✽参考1(ブログの最後を参照してください)

生活保護費のGDP比率はOECD加盟国の平均2.4%に対して日本は0.3% ※平成25年度にはGDP比率0・9%に上がったが
過去最多の更新が続く生活保護費が、2012年度の3兆7千億円から25年度には40%増の5兆2千億円に増大するとの厚生労働省試算が、判明した。10年前の02年度には2兆2千億円だったが、ほぼ右肩上がりに増え続けており、歯止めがかからない状況になっている。医療費が大きく伸びることが要因とみられる。国内総生産(GDP)に対する比率は12年度の0・8%から25年度には0・9%に増える。

上記記事を読んで、日本の医療費は手厚いので、医療費と生活保護の総計をOECD諸国と比較すると違った数字になるのでは?…と調べたら、
日本の年間約3千億円の生活保護費の半分近くを占める医療扶助。医療費も生活保護費に含まれているそうだ。

生活保護費の受給者の人口に占める比率はOECD加盟国の平均7.4%に対して1.6%。
※全人口に対する生活保護利用率
日本 1.6%
フランス 9.8%
イギリス 24%

OECD諸国で移民が受給する生活保護額が高いのでは?日本は移民が少ないから少ないだけじゃないのか?と思ったけれど、そうではないようだ。
記事によってばらつきがあるけれど、だいたい誤差の範囲内だ。スウェーデンは移民もネイティブも大差なく、とくに仕事をする関係で移住した移民は生活保護の受給率は少ない。。アメリカでは、移民は35%ネイティブより生活保護受給率が高いというデータがあったが、それでも、日本の受給率の低さと比較すると著しく低い。また、アメリカでは1970年から1990ねん後半にかけてのデータだが、移民の生活保護受給率は下がり続ける傾向にあったようだ。

✽参考2(ブログの最後を参照してください)
✽参考3(ブログの最後を参照してください)


●所得が生活保護支給基準以下となるケースの内、実際に受給している割合を示す「捕捉率」は、
イギリス 87%
ドイツ 85-90%
日本 約10-20% (厚生労働省調査。住宅ローンを含めた人数。厚生労働省の予算確保のため少なめに見積もるバイアスがかかっているかもしれない。)
日本 68.4% 総務省の統計に基づく推計では捕捉率は68.4%(総務省調査。住宅ローンを除いた人数のため、総務省の調査が本当の貧困世帯のように思われる。)

✽参考4(ブログの最後を参照してください)
✽参考5(ブログの最後を参照してください)

●『反貧困』湯浅誠著 岩波新書より
生活保護など受けたくない」という心理的な要因とともに、自治体の窓口において、担当職員が本人の働く意欲や親族による扶養を盾にして、申請そのものをさせずに追い返す「水際(みずぎわ)作戦」が横行している。
湯浅氏は、自治体窓口で保護の申し出を拒否されたうちの66%がその対応に生活保護法違反の可能性がある(日弁連の見解)と指摘している。」
 「生活保護と言うと、すぐに『必要のない人が受けている』『不正受給者がいる』と言われることがあるが、生活保護の不正受給件数は2006年で14,669件である。必要のない人に支給されることを『濫給(らんきゅう)』と言い、本当に必要な人に行き渡らないことを『漏給(ろうきゅう)』と言うが、14,669件の濫給問題と600万〜850万人の漏給問題と、どちらが問題の本質として深刻か、見極める必要があると思う。」

→背景には、生活保護費の4分の1を地方自治体が負担していることや、ケースワーカーが不足していることなどがあるらしいが、実際はどうなのだろうか。



✽参考6(ブログの最後を参照してください)


●参考
✽1
ちなみに絶対的貧困とは  2008年5月のエコノミスト誌記事 山形浩生訳から
「世銀は、貧困ラインを「一日一ドル」、あるいはもっと正確には、1993 年購買力平価(PPP)で 1.08 ドルに設定しているのは有名な話だ。言い換えると、一九九三年に一日1.08 ドル以下しか消費していないアメリカ人よりも消費が少なければ、その人は貧困だ。この尺度だと、2004 年には 9.69 億人が絶対貧困に苦しんでいた。これは 1990 年からは 2.7 億人減っている。この貧困減少はもっぱら中国のおかげで、中国の貧困は 1990 年から 2004 年にかけて2.5億人減ったのだった。」

✽2
アメリカ移民は35%ネイティブより生活保護受給率が高い。
http://www.expressindia.com/fe/daily/19971227/36155163.htm

✽3
スウェーデンの場合の移民の生活保護受給率はほとんど違わない。
(New York: Russell Sage Foundation, 2009)

✽4
http://blog.goo.ne.jp/rahvulpes/e/2d9fa0c0fc3faf4b4d0b38d0c1c885b3
ただしこれは厚生労働省調査による。これは住宅ローン支払い中の世帯も対象に含まれている。住宅ローン支払中対象者を除くと
JIS+2D22総務省が6年前に実施した全国消費実態調査からは日本の捕捉率68.4%でイギリスと2倍以上の生活支給保護率になる。
全国消費実態調査は、家計簿をきちんとつけるという協力を求めるもの。

✽5
2010年4月9日、生活保護の捕捉率が政府(厚生労働省)から発表。
捕捉率とは、生活保護基準以下の世帯のうち、実際に生活保護を受給している世帯数の割合をいいます。


今回の発表によると、JIS+2D21厚生労働省自身が実施している国民生活基礎調査(2007年実施のもの)か 収入が生活保護基準以下で、預貯金が少ないため生活保護の要件を満たしている世帯  337万世帯 うち、生活保護受給世帯 108万世帯   捕捉率32.1%   (参考までに、337万世帯のうち)母子世帯 22万世帯(母子世帯全部の30.2%に該当し、低所得率が非常に高いことが示された)
JIS+2D22総務省が6年前に実施した全国消費実態調査から同様に、142万世帯、97万世帯、捕捉率68.4%
このJIS+2D21とJIS+2D22の2つの調査。福祉事務所の仕事

✽6
増税されると地下経済市場が大きくなる
http://agora-web.jp/archives/1432820.html
イタリアだ。現在、イタリアの付加価値税は20%。その結果、みんなが踏み倒す方向に向かった。20%もの税金を払うくらいなら、10%引きにするから、おたがいネーロ(闇)にしないか、と持ちかける者が増え続けた。領収書を切らず、現金だけをやりとりして、取引は無かったことにし、納税の義務そのものを消滅させる。