小幡氏のリフレ政策への批判

●本エントリの構成
小幡氏による、日銀による国債直接引き受けの解説が優れていたため下記にまとめました。
まず、ブログ管理者による批判を載せ、次に小幡氏の記事のまとめを載せます。


●まえがき
この記事を呼んで、私はリフレ政策支持から、増税支持のほうに少し、傾いています。
もちろん、理想を言えば、政府の効率化、無駄な費用削減、債務削減が一番ですが、現実的には難しいようです。
インフレ税により、実体経済が悪くなるのであれば、増税のほうがまだまし、と考えることも理解はできます。

⚫︎政府の借金返済方法
政府借金の返済には下記3通りあります。
1 政府のデフォルト
2 増税
3 インフレ税

小幡氏もかつては1政府のデフォルトを支持していたようですが、今は2増税を支持しているようです。

・ソース
小幡氏による政府のデフォルト支持 http://lite.blogos.com/article/11211/
小幡氏による増税支持 http://blog.livedoor.jp/sobata2005/lite/archives/51838896.html


●日銀によるマネーファイナンス実施による各主体別のメリットとデメリットをまとめました。(ブログ管理者作成)

日銀によるマネーファイナンスによりメリットのある主体
・外需主導の上場企業、経団連(円安による)
・上場企業の株主(量的緩和による株の買い支えによる)
・政府(赤字国債発行、インフレにとる量的緩和、債券買われるんで好都合)
・不動産オーナー。例えば、三菱地所三井不動産、地主など (資産インフレによる)


日銀によるマネーファイナンスによりデメリットのある主体例
内需主導企業
・中小企業のオーナー
・住宅ローンの購入者(変動金利)
・一般消費者(輸入インフレ)
・金融機関(とくに地方)


●管理者による小幡氏への批判
・1「長期金利上昇をした場合、実体経済を悪化させる」についての反論
平常時であればそうだろう。しかし、不況下とくに恐慌下で、民間に貸出先が少なくなった場合は、ケインズ政策による乗数効果のほうが経済的な効果が高い場合もあるだろう。極端な例でいえば、戦争経済体制がそうだろう。
ただし、不況時や恐慌時に、民間から貸出需要があるという事例もあるので、一概には言えないが。

・2「多くの投資家が売りに回ったときに行えば、それは投機家の圧力に屈することになる。これは、まさにソロスがイングランド銀行をポンド投機で打ち負かしたのと同じ状況である。」についての反論

小幡氏は日本はハイパーインフレにならないと主張しているが、欧米のインフレについては言及していない。欧米は急激なインフレが起きることは免れえないが、個人的には日本でも急激なインフレが起きる可能性が高いと想定している。現実的には、下記の2種類のケースのどちらか
が起こる。

可能性1 日米欧の急激なインフレ
可能性2 日本は急激なインフレにならず、欧米だけが、急激なインフレを起こし、円高になる。企業の海外流出は加速する。一部では、海外進出のために日本の工場に雇用が生まれるが。

日米欧の政府が空売り規制のようなものをかける可能性も十分あるはずだ。既に欧州は債務危機が明るみになっているが、今後日米の債務へのリスクが投資家の間で懸念されれば、国債暴落の可能性がある。とくに、欧米はデリバティブ商品による損失も大きいため、日本の政府よりも急激なインフレを起こしたい誘惑は強いはずだ。そのため、日米欧の政府は歩調を併せて、ヘッジファンドに対しての空売り規制のようなものをかけてくることも可能性としてある。
すでに、自金取引については欧米で規制がかかってる。歴史的に恐慌時においては国家統制経済になりがちため、法律と軍隊を操作できる官僚が重要な意思決定者だ。
戦中は、日本は国債増刷による急激なインフレと円の切り下げにより、国家債務を解消させた。
今回も、日本政府にとってはある意味でチャンスといえある。また、円安メリットがある輸出メーカーや、民間株主、資産オーナーは量的緩和を強く望み、政府にロビイング活動のようなものを続けるはずだ。

※ブログ管理者の想定する2つのケース
ケース1
リフレ政策 → 国債下落 → 日銀による国債直接引き受け →投資家の売り → 日銀による金融引き締め

ケース2
日米欧による国債空売り規制 → リフレ政策 → 国債下落 → 国債買い支え → ハイパーインフレ



●小幡氏の主張のまとめ

●前提
量的緩和をして儲けるのは投資家だけで、実体経済に影響はない。
・日銀が直接コントロールできるのは、超短期金利のみ。


⚫︎日銀による国債無制限買取から起こることことは次の3点。
1 急激な円安
2 資産インフレ
3 長期金利の上昇

1 急激な円安により起こること
 1-1 輸入インフレ
 資源価格の輸入額が高騰。中程度の輸入インフレから実質所得の低下、不況
 1-2 債券安、為替安、株安のトリプル安
 1-3 資金は海外へ逃避、企業活動も移転する。


2 資産インフレになる(一般財のインフレにはならない)
貴金属、不動産などの高騰。


3長期金利上昇により起こること
 3-1 国債の下落。
  3-1-1 ヘッジファンド空売りをしかけてくるリスクが高くなる。そうなると、日銀は無制限に国債を買い支えられないため、金融引き締めに変更する。
  3-1-2 金融機関の破綻。
  ほとんどの金融機関、とりわけ地方銀行が日本国債の値下がりによる含み損を時価会計の下で損失計上。
  銀行セクター全体では大まかに見積もって10兆円前後。地銀に偏っているので、地方経済はいきなり行き詰まる。
 3-2 実体経済が悪くなる。銀行による民間への貸出金利上昇、住宅ローンの利率上昇。

●ソース元
アゴラ - ハイパーインフレは起きないが、リフレは経済を破綻させる-(小幡 績) http://agora-web.jp/archives/1501889.html
ハイパーインフレは起きない 質問への回答(小幡 績) http://agora-web.jp/archives/1502167.html
ハイパーインフレは本当にやってくるのか リフレ政策への大誤解(小幡 績)東洋経済オンライン
http://toyokeizai.net/articles/-/11850