宇宙コントロールとは何?それはどのように獲得・喪失されるものか?

奥山先生による地政学ゼミに参加して参りました。
今回のスペース・パワーについては、議論の結果をまとめております。

●スペース・パワーの定義
アメリ国防省の定義 「宇宙において、その目的を達成するための能力」

●スペース・パワーにおける4つ学派
1 聖域学派サンクチュアリスクール
軍事的な力を宇宙で利用するなというリベラル派。


2 生存性脆弱性学派
宇宙システムは攻撃に対して脆弱であり、対衛星はいいが宇宙で軍事力は使えないのではないか。


3 高地学派(ハイグランドスクール)
クラウゼヴィッツの理論:瞰制(高地)を獲得することにほかならない。
A 障害を作る。接近を困難にさせる
B 上から下は命中率がいい
C 展望において有利


4 コントロール学派
安定した軌道に載っている宇宙船は燃料がいらないため、宇宙の交易路の確保が重要。
もっとも効率よく移動するのに使われるのが「ホーマン遷移」であり、宇宙空間における未来の交易路と軍事・交通・通信路は、宇宙にある港の間にあるホーマン遷移軌道になる可能性が高い。


●スペースコントロールが成立する一般要件。
1テクノロジー的な要素。運搬手段、飛行機、ロケットなど。
2地理的な要素。発射するのに最適な場所が必要。宇宙の重要なポイントに飛ばせる、地球の最適な場所を獲得。
※必ずしも自国でなくてもよく、最適な地理を持つ国と友好関係を築くことも有効。
3継続的な要素。1と2を生かすための経済的要素が必要。


●スペースコントロール創出させるための2つの方法。威嚇と強制。
威嚇とは:外交、経済、情報を利用する。
1外交
国際際法(条約、規制)などで圧力をかける。
EX、1967年10月10日に宇宙条約が発効された。
「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約」
領有の禁止が第2条で規定。天体を含む宇宙空間に対しては、いずれの国家も領有権を主張することはできない。
100キロ前後までが領空であり、それ以上は宇宙空間で領有権を主張できない。

1983年3月23日 SDI=スターウォーズ計画宣言し、宇宙の武装化が始まる。レーガンは、夜の演説で、ソ連の脅威を強調すると共に、「アメリカや同盟国に届く前にミサイルを迎撃」し、「核兵器を時代遅れにする」手段の開発を呼びかけた。


2経済
衛星の打ち上げを寡占する。弱い組織には圧力をかける。
日本はJAXAはやぶさ打ち上げでうまくやった。再突入のデータも蓄積している。
日本が力を発揮できるのは経済の分野。太陽光発電などで頑張れないか。


3情報
大国は情報を確保し威嚇できる。

強制とは:軍事力、兵器を利用する
1 ハードへの攻撃。その国から高地を消滅させる。
宇宙対宇宙、空対宇宙、地上対宇宙(弾道ミサイル防衛)の3つの状況が想定できる。
2 ネットワークへの攻撃。衛星と地上のネットワークを絶つ=運用統合の連結を絶つ。
サイバースペースの抱合せでコントロール可能。


●参考文献
「アストロポリティーク:宇宙時代の古典地政学」ヴェレット・ドールマン